ごあいさつ
第57回定期大会におきましてご承認頂き、神奈川県税理士政治連盟会長に就任することとなりました一ノ瀬裕と申します。
皆様には、平素より税政連への深いご理解と多大なるご協力を賜り、心より感謝申し上げます。令和5年からの2年間、どうぞよろしくお願い申し上げます。
税理士政治連盟は、税理士法第1条の「税理士の使命」を全うするため、また税理士法第49条の11の税務行政その他租税又は税理士制度についての建議権を実現するために活動しています。
税理士会は税理士法に基づく強制入会の特別法人であるため、政治活動を行うことができません。従って税理士会の要望を実現するための政治活動を税政連が受け持っています。
もし税政連が無かったら、
①税理士法の建議権による税制改正等の要望の実現が困難になります。
②税理士の無償独占業務が無くなる可能性があります。
業務独占には、無償独占と有償独占とがあります。
独占性は個々の資格で異なっています。
無償独占業務資格としては、税理士、医師、司法書士、土地家屋調査士等などがあり、有償での業務に加えて無償での業務も独占となります。
有償独占業務資格としては、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士、弁理士、社会保険労務士、行政書士があり、有償での業務のみが独占であり、無償であれば誰でもこれらの業務を行うことができます。
公法である税法を専門的に扱うという、その業務の社会公共性から、税理士法は税理士に税務業務の無償独占権を与えています。
税理士会員の皆様には、税理士の職域防衛の観点からも税政連の活動にご理解ご支援を引き続きお願い致します。
さて、昨年の建議書についての流れをお話しします。
日税連は「税務行政その他租税又は税理士に関する制度について、権限のある官公署に建議し、又はその諮問に答申することができる」と税理士法49条の11及び49条の15に規定されていることを受け、毎年、税制改正建議書を取りまとめています。
「令和5年度税制改正に関する建議書」については昨年6月の理事会で決定し、翌日に日税政幹事会において決定した要望書を基に、日税連は関係官庁に提出し、日税政は10月に各単位税政連の役員が衆参議員会館を中心に208人の国会議員に対して一斉陳情を実施しました。その後においても自民党税調幹部や各主要政党の議連総会等にも出席して、陳情はほぼ連日、議員会館に出向いて実施しています。
この一連の建議・要望に係る陳情活動の成果が「令和5年度税制改正大綱」に盛り込まれています。
インボイス制度に関しては、基準期間における課税売上高1億円以下の事業者が行う1万円未満の課税仕入れにつき、インボイスの保存が無くとも帳簿のみで仕入税額控除が可能とされ、また、1万円未満の値引き等の返還インボイスの交付が不要とされました。
また、免税事業者が取引から排除されることの無いように、インボイス発行事業者以外からの課税仕入れ80%控除という経過措置について、当分の間維持することを要望していきます。
また、特定災害により住宅・家財等に損失が生じた場合の雑損控除の繰越控除期間が3年間から5年間へと延長されることとなりました。
このように日税政は、日税連の建議書に盛り込まれた要望実現に向け積極的に対応してきています。
また、各党において開かれる税制ヒアリングにおいても議員との活発な意見交換を行っており、全国の単位税政連と税理士による後援会が連携し、要望実現を訴え続けています。
「税理士による国会議員等後援会」は令和5年現在、全国で約340にせまる数になっており、重要な役割を担っております。税制改正等に関する陳情を行うことで、国会議員との密接な関係を構築し、要望項目の実現を図り、税政連活動の大きな軸となっています。
最後に繰り返しになりますが、税政連は、決して特定の政党を支持するものではありません。8万人を超える税理士が加入する税理士会の要望を実現するため、また税理士の職域を防衛するために設立された政治資金規正法上の政治団体です。
税政連の活動によって多くの成果を得ることが出来、この成果の恩恵はすべての税理士会会員が等しく享受しているということです。
しかしながら、収納率が年々低迷している現状となっており、組織率増強が喫緊の課題であります。
税理士会員の皆様、どうぞご理解と更なるご支援を、よろしくお願い致します。